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柴田さんからの話

やわらかいコンピュータをつくろう!

世間ではコンピュータというとパソコンを想像する人がまだまだ多いようです.しかし普段私達が何気なく使っている携帯やデジカメ,DVDレコーダやカーナビ,iPodやPSPなども,外見はずいぶん違いますが中身はマイクロプロセッサが入った立派なコンピュータだということは,情報システム工学科で学ぶ皆さんなら分かると思います.

今や一昔前のスーパーコンピュータ並の演算能力が,システムLSIと呼ばれる数センチの半導体チップ1つで実現し,自由に持ち運べるようになりました.そう遠くない将来,私達はコンピュータそのものを身にまとい,相互に通信する無数のコンピュータ群に囲まれながら,より便利で知的な生活を謳歌するようになるでしょう.

柴田研では,このような未来のコンピュータアーキテクチャについて研究しています.今までのコンピュータに比べて,もっと高い演算性能を実現することはもちろん,消費電力を抑えながら,ソフトウェアとの連携性をさらに高めることができれば,今まで想像もできなかったコンピュータの使い方が生まれるに違いありません.これを実現する鍵として,柴田研ではリコンフィギャラブルコンピューティングという新しいコンピュータの概念の可能性を探っています.

リコンフィギャラブルコンピューティングという言葉は耳慣れないかもしれません.分かりやすくいえば,これは「やわらかいコンピュータ」を作る試みです.今までのコンピュータは構成そのものは固定的でしたが,LSI技術の進歩により動作中に瞬時に構成を変更するようなコンピュータを作ることが可能になってきました.この技術を使えば,例えば野球のグローブが使えば使うほど手に馴染むように,コンピュータが用途や動作環境の変化や応じて自動的に最適な構成をとることが可能になります.

さらにこの考え方を進めると,私達は「仮想ハードウェア」と呼んでいますが,コンピュータの構成をどんどん書き換えていくことによって,ごく小規模なハードウェアで仮想的に巨大なコンピュータの動作を効率良く実現することも可能になると考えています.また,柴田研はハードウェアの研究室というイメージが強いと思いますが,コンパイラ技術の理論的な研究や,リアルタイムレイトレーシング,楕円曲線暗号,バイオインフォマティクスなどのリコンフィギャラブルコンピューティングのアプリケーションに関する研究も盛んです.

研究室の特徴

1.自主性を重んじること

研究室の運営は学生主導です.研究は自由な雰囲気で各自が自分のペースで行います.決められた期限までに一定の成果をあげれば,どのようなスタイルで研究しても構いません.週1回のミーティングや,輪講などの公式行事の他は,どのように時間を使っても自由です.もちろん自分の行動の結果については自分で責任を持つことが大前提です.

僕はできるだけ「〜しなさい」という指示はしないようにしています.研究テーマや研究の進め方についても,もちろん相談にのって色々アドバイスはしますが,最終的には本人の意思で決断するようにしています.

2.個性を尊重すること

人にはそれぞれの個性があります.実装は得意だけど文章は下手な人,サーベイは得意だけど実装が苦手な人,プレゼンは上手だけど詰めが甘い人,いろいろです.まずはそれぞれの得意な分野を伸ばし,これだけは絶対他人に負けないという領域が作るようにしています.それぞれがとり組んでいる研究テーマの幅が広いのもこのためです.

ある分野に自信がつけば,自然と不得意なことも前向きに克服していく気力が沸くものです.そして3年経って修士を取る頃には,専門の分野においては僕を上回る実力をつけることを目標としています.(さすがに総合力では3年くらいでは抜かれないように僕も頑張っているつもりです.)

3.視野を広く保つこと

とかく地方大学は閉鎖的だといわれますが,柴田研はオープンです.研究成果は国際学会や国内学会で積極的に発表し評価を得ています.また,科学技術振興機構北野共生システムプロジェクト,NECエレクトロニクス,慶應義塾大学などとの共同研究等を通じて外部との交流も盛んです.

外の世界に積極的に飛び出すことで,固定観念にとらわれずに自らをより相対的・客観的に見つめることが可能になります.学会発表や共同研究などを通じて,研究だけではなく人間性の幅もどんどん広げていって欲しい考えています.

4.はじめから妥協しないこと

僕は「学部生だからこの程度のレベルで十分」というような考え方はきらいです.はじめから枠を決めてしまっては,せっかくのすばらしい素質も開花しないでしょう.柴田研では学部生もうまくいけば海外で発表できるレベルのテーマに取り組んでいます.実際に卒論のテーマを海外で発表した人もいますし,卒論を英語で書いている人もいます.「柴田研の学生は意欲的」という評価を,他大学の先生や企業の方からもよく頂きます.

どんな雰囲気?

柴田研はそれぞれが強烈なキャラクターを放つ魅力的な人材に溢れています.このような多様性の中から新しいアイディアがどんどん沸いていくのだと思います.かといって過度にまとまりが無いわけでもなく,研究室対抗ソフトボール大会でも一致団結し常に優勝を狙うレベルにあります.

どういう訳か,僕は授業での印象と研究室での印象が違うとよく言われます.僕は変えているつもりは全くないのですが,このあたりについては直接先輩から話を聞いてみてください.研究室全体では,時間帯や締め切りの迫り具合いによってずいぶん雰囲気が違うと思います.ぜひ何度か研究室を訪れ,直接その雰囲気を感じて欲しいと思います.

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